北八ヶ岳彷徨 011



「寝坊して外にでると、快晴の朝になっている。今日は元旦。
屠蘇、ユズとミツバのはいった雑煮、ゴマメ、コブマキ、クロマメ、ナマス
などが朝の食事にならぶ。下界の正月には尻を向けても、山の上では、すなおに
人間のよろこびに列席しよう。今日の予定は雨池山と縞枯山との鞍部まで。
苦しい行程ではない。ゆっくりと荷造りをして、小屋の中を掃除してから、
七ッ池に行ってみた。なんというきれいな朝だろう。雪の七ッ池も、池を
かこむシラビソの林も、一年の周期に旅立つ新しい太陽に祝福されて、
まぶしいくらい、いきいきと明るい。純白の雪の上に足跡をつけるのが
申しわけないようだ。」
・・・山口耀久著『北八ッ彷徨』より



元日の朝

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# by kame-fukusima | 2018-01-01 05:00 | 山と渓

北八ヶ岳彷徨 010



「・・・十二月三十一日の落日が見たい!
横岳北峰頂上、十七時0分。劇はすでに終っていた。
遠い穂高の城壁を真っ黒に浮きあがらせて、
一年の終りの空が山火事のように燃え残っていたが、みるみるうちに
黒ずんで、消えた。風だけが激しく私を打った。流れ飛ぶ雲の裂け目
から氷った月がのぞいて、青い私の雪の上にあった。」
・・・山口耀久著『北八ッ彷徨』より



落 日

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# by kame-fukusima | 2017-12-31 06:00 | 山と渓

北八ヶ岳彷徨 009




「・・・切りっ立った線はそのてっぺんに登ってやろうという人間の本能を
挑発するが、なだらかな面はそういう情熱を刺激しない。だから北八ッの
山歩きには、かならずしも頂上を必要としないのである。道のない原生林
の中をさまよってよろこんだり、森にかこまれた小さな草原で無心な夢と
たわむれたり、人のいない湖の岸辺で山の静けさに耳を澄ませたり、要す
るに登山という構えた言葉よりも、山歩きとか山旅とかいうおとなしい
言葉のほうが、このおだやかな山地には、すなおにひびく。」
・・・山口耀久著『北八ッ彷徨』より




道 標

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# by kame-fukusima | 2017-12-30 06:00 | 山と渓

北八ヶ岳彷徨 008



「北八ッは森の高地である。鬱蒼とした針葉樹の原生林がいちめんに、
なだらかな山々の起伏を被い、山奥の澄んだ湖がひっそりと森のしじま
を映している。この裏八ヶ岳ともいうべき蔭の濃い山域には、八ヶ岳の
本峰である南八ヶ岳の、あの気負い立ったような激しさと鋭さはないが、
そのかわり、いつまでも人の胸に残るような、奥ぶかい静けさに充ちた
安らぎがある。」
・・・山口耀久著『北八ッ彷徨』より




道 標

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# by kame-fukusima | 2017-12-29 06:00 | 山と渓

北八ヶ岳彷徨 007



「北八ッでは、何時までにあの峠に着いて、何時にあの頂きを出発しなければ
ならないというような、時間にしばられた歩き方はしない。いいところがあれば、
ねころんで煙草を吸って、いろんな空想をあたためたり、ヒガラやメボソのきれい
な声に耳を傾けたり、気がすむまで腰をあげない。気がむいたら、予定を変更して、
まだ陽の高いうちから天幕を張ったってかまわない。
思い出の質量というものは歩いた距離にばかり比例するものでないということを、
この山地の気ままな山歩きが教えてくれたからだ。歩いた時間よりも休んだ時間
のほうが長かったというような日が、私の山日記にはいくらでもある。」
・・・山口耀久著『北八ッ彷徨』より




道 標

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# by kame-fukusima | 2017-12-28 06:00 | 山と渓

京都と各地で見かけた光景を投稿します。リンクは自由です。


by kame-fukushima