カテゴリ:古寺巡礼( 4 )


奈良に来たら、まず小規模ではあるが非常に古い簡素優雅な十輪院を訪ねて
静かにその美を観照し、また近傍の風物や素朴な街路などを心ゆくまで味わ
うがよい。とこう述べたのは、ドイツの建築家ブルーノ・タウトである。

タウトは日本の各地の建築物を見て歩き、実際に和風住宅に住んでもいる。
その観察眼は鋭い。飛騨の合掌造りの合理性、桂離宮の簡素優雅な美しさ。
等々・・・日本人が忘れかけていたものを掘起こしてくれた。
私は数年前から十輪院を訪ねようとして幾度も試みたのであるが、一度も到
達できなかった。今回ようやく境内に立入ることができた、それもまたまた
迷いに迷って。

本堂は床の低い小規模な門跡寺院の様相に見えた。簡素な蔀戸(しとみど)
と正面の広縁がとても美しく、京都御所や桂離宮の建物に通じるものが感じ
られた。組物には胡粉以外、これといった色は見当たらなかったが、建築当
初(鎌倉時代)は極彩色に彩られていたのであろうか。
開基は古く奈良時代で、元興寺の一子院だったと伝わる。宗派は真言宗醍醐
派、ご本尊は地蔵菩薩である。


本堂(国宝)
f0374885_12061038.jpg



山号「雨宝山」の扁額
f0374885_12061983.jpg



簡素な蟇股と木鼻
f0374885_12062831.jpg
柱は六角形、軒を支えるのに垂木ではなく厚板を用いている。


本堂正面の蔀戸と障子
f0374885_12064063.jpg
御簾が掛けられていれば仮御所と見誤る。


本堂正面の広縁
f0374885_12065233.jpg
ドイツ語の会話が聞こえた。彼の国のガイドブックに載っているのだろうか。




f0374885_12071043.jpg
広々とした広縁は、一般の住宅のような設えにも感じられる。




f0374885_12072355.jpg
本堂の東側と西側は濡縁になっている。



東北側にある本堂入口(正)
f0374885_12073237.jpg

「それから建築の貴重な宝石とも言うべき新薬師寺に赴いて、何よりも
まずそこの門や塀、植込などに見られる、えもいわれぬ自然的な美しさ
を仔細に鑑賞せねばならない、・・・」
『忘れられた日本』より引用 ブルーノ・タウト著

※付加える言葉はありません^^;



新緑写真&お気に入りのお出掛けスポット!【PR】
[PR]
by kame-fukusima | 2018-05-23 10:48 | 古寺巡礼


元興寺と聞いて、「あの寺ね」と頷くことの出来る人はそう多くは居ない
ような気がする。彼の飛鳥寺が遷都にともない平城京に遥々運ばれて来た
寺が元興寺なんだとか。そして、ここはれっきとした世界遺産なのだ。
何と南都七大寺の一つで東大寺に次ぐ規模を誇っていたとか。戦だとか色
々あって、現在のようにごく一部が残るだけになってしまった。気を付け
て見ていなければ、つい通り過ごしてしまいそうな寺である。

そうは言っても世間に誇るものが沢山ある。例えば、建物の一部に日本で
一番古い木材が使われている。屋根瓦は、千四百年前の物が今でも数千枚
使われている。天平時代の五重小塔(国宝)が唯一現存している等々。
かつて奈良町は元興寺境内の一部であったのだ。

肝心のその元興寺の史跡が近在に三つに別れ、今では宗派も異なってしまい
尚更ややこしい。それでは順を追って見ていくとしよう。


元興寺(極楽房・僧坊)
f0374885_17073620.jpg
東門(重文)を入ると正面に極楽房が威容を誇る。





f0374885_17444984.jpg




極楽房(国宝)
f0374885_17074691.jpg
宗派は西大寺と同じ真言律宗である。




極楽房と僧坊(後方の建物が僧坊)
f0374885_17075434.jpg




浮図田(ふとでん)
f0374885_17080878.jpg
浮図とは仏陀のこと。稲田のごとく石塔や石仏を並べたことに由来する。
境内に二千体はあるという。




僧坊(国宝)側面
f0374885_17081780.jpg
僧侶が起居、修行に励んだところ。室内に入った人によれば中には何もないとか。




僧坊と極楽房
f0374885_17082807.jpg
元興寺は花の寺でもある。涼しくなるころには萩の花が咲き乱れる。




天平時代の瓦屋根(僧坊)
f0374885_17084892.jpg
段差のある瓦が千四百年前の行基葺瓦で、現存する唯一のもの。
※ここまでの写真は、昨年六月に撮影したものです。





元興寺 小塔院跡(真言律宗)
f0374885_17085558.jpg





小塔院の跡
f0374885_17090575.jpg
室町時代の土一揆で焼けたと伝わる。草木の地下深く 往時に思いを馳せる。





華厳宗 元興寺
f0374885_17091708.jpg




元興寺 塔跡
f0374885_17092630.jpg





f0374885_17093572.jpg
五重塔の礎石だけが残る。かつては壮麗な五重塔があったことを偲ぶほかない。


※小塔院跡、元興寺塔跡とも訪れる人は多くはない。時間が許せばこちらも拝観したい。







新緑写真&お気に入りのお出掛けスポット!【PR】
[PR]
by kame-fukusima | 2018-05-17 10:12 | 古寺巡礼



嘉祥二年(849)、慈覚大師によって伽藍が建立され 阿弥陀・釈迦・大日の
三尊を安置したので三佛寺といわれるようになったという。
ただし、慈覚大師の来山は史実には明らかではない。源頼朝、足利義満ともに
同寺を尊崇し、盛時は38寺49院を数えたというが、 兵火によりその多くを
焼失したという。




本堂
f0374885_10244531.jpg

江戸時代後期、天保10年(1839年)の再建。県文化財に指定されている。
 平成19年に解体修理を行っている。修理前は屋根からの雨漏りがひどい状態の上、
本堂下部には伏流水による空洞ができており建物は傾いていたという




宝形造りの本堂

f0374885_10251423.jpg








本堂裏手

f0374885_10253736.jpg

あと10年も経てば、古色がつき良い雰囲気になるだろう








垣間見える文殊堂

f0374885_10260503.jpg

本堂から先へは進めないので遠く仰ぎ見る。
参道奥には国宝投入堂をはじめ多くの重要文化財の建造物がある。





狛犬

f0374885_10270699.jpg

見応えのある狛犬であった





いわくありげな大岩

f0374885_10273262.jpg

通常、冬季期間はここまでしか進めない







本堂前の杉三題

f0374885_10275777.jpg







f0374885_10284893.jpg







f0374885_10291115.jpg

本堂前に佇んでいると日が射してきた。その変化を楽しむ








仰ぎ見る奥院投入堂(投入堂遥拝所より)

f0374885_10300577.jpg


「役行者が三徳山を訪れた時、その山のふもとでお堂をつくりました。
役行者は法力でお堂を手のひらに乗るほどに小さくし、大きな掛け声と共に
断崖絶壁にある岩窟に投入れたと言われています。
このことから「投入堂」と呼ばれるようになりました。」
…ホームページより引用

分りにくいが写真上部崖下に投入堂がある。
15年前のコンパクトカメラではこれが限界(とカメラに責任転嫁)。
いまだに現役、世界最小デジタルカメラ(発売時)。胸ポケットに入り、
ファインダーも付いてるし、矢立代わりに旅のお供はいつもこれ→optio s
この機種三台持っているけど、最初に購入したものが一番写りが良い。
個体差ありすぎるなぁ…







参道入口バス停

f0374885_10302910.jpg


参拝を終え、食事の出来るところを探したところ、バス通りに二軒の食事のできる店
を見つけたがなんと冬季は営業していなかった。空腹を抱え寒さに震えていた時、
参道を上がってすぐの所に谷川天狗堂という店があったことを思い出した。
店の前には新雪が積もったままであったし、お休みかもしれないとは思ったが
藁にもすがる思いで再び参道を登ってみた。戸口で店内を覗いたところ
店の主人と目が合い、中に入り営業していることを知り一安心。

ストーブがあり身体を温めることができほっと一息。
お薦めの山菜天ぷらうどんを注文し待つこと20分、山盛りの山菜の
天ぷらにちょっとビックリ。出汁もよく利いて味が良いのに感激する。
聞けば積雪期にはほとんど参拝者は来ないとのこと(今日は数名いたなぁ)。
例年この時期の積雪は60㎝は越えるそうだ。

壁に『のだめ』のテレビドラマで指揮者の役をしていたタレントの写真を
見つけたので、ここに来たのかと尋ねたところ、そうだという。前年来たそうである。
あのドラマは好きで好きで幾度見たことか。“のだめ”の弾くピアノの音が実に良かった。
それもそのはず、有名なピアニストの音であった。
原作の漫画も全巻買って読んだな、と思いながらつゆも残さず完食。

店の主人に礼を述べ、再び参道入口バス停からバスに乗りいざ倉吉へ










[PR]
by kame-fukusima | 2018-01-08 08:36 | 古寺巡礼



一昨年の二月、年度末の迫る中三日間の休暇をとり三徳山三佛寺、倉吉、
そして三朝温泉への二泊三日の旅に出た。
三徳山三佛寺は一度は来たかったところである。天下に名の轟くあの投入堂
のあるところなのだから。土門拳さんをはじめ、著名人がここを訪れている。
年齢を重ねると投入堂までの道は険しくきついようである。土門さんは不自由
な身体でもあったので、数人の手助けを借りて投入堂へ登ったと本で読んだ
ことがある。
なお、冬季は本堂までしか参拝は許されていない。



f0374885_06064963.jpg




三徳山三佛寺

三徳山三佛寺は天台宗修験道三徳山法流の寺である。
鳥取県のほぼ中央、中国山脈の脊梁部北側に位置し、周囲は高い山々に囲まれ
変化に富んだ渓谷美を見せる。断崖絶壁や大岩窟が入り乱れ四季折々の美しい
景観を呈し、一帯は史跡名勝に指定されている。



三徳山参道入口
f0374885_18284041.jpg








三徳山参道入口

f0374885_18291438.jpg

午前十時頃参道入口に到着する。すでに数名の参拝者らしき人の足跡あり






皆成院前の参道

f0374885_18294039.jpg

積雪はあるが沢の水を傾斜を利用して流しているので、歩行に困難は無い







輪光院山門

f0374885_18300735.jpg

境内から撮影したもの。こちら側の方が山間の寺院の雰囲気がある









輪光院庭園

f0374885_18302935.jpg









輪光院十二支の地蔵

f0374885_18305176.jpg

いわれは分らぬが十二体それぞれのポーズが異なる







f0374885_18311402.jpg









宝物殿前の石仏三題

f0374885_18314090.jpg

時代はありそうだが由来は分らず。苔むし、風化が進んでいる







f0374885_18320625.jpg








f0374885_18323275.jpg

顔立ちに特徴のある石仏群である







本堂

f0374885_18330324.jpg









三佛寺

f0374885_18333141.jpg

・・・続きます

※お正月にブログ内の記事と写真を掃除していたところこの記事を見つけ、削除しようとしたが思い直し、
『古寺巡礼』シリーズに再編集してみました^^;




[PR]
by kame-fukusima | 2018-01-08 06:10 | 古寺巡礼

京都と各地で見かけた光景を投稿します。リンクは自由です。


by kame-fukushima